光のいろは

光を基礎から知るブログ

閃光電球(Flash bulb)

閃光電球(Flash bulb)

閃光電球(Flash bulb)は、キセノンフラッシュ(ストロボ)が安価に安定供給さ
れる以前の1930~1970年代に使用されていた瞬間光源で、マグネシウム光源
(Flash powder)を使いやすくしたものである。

1このフラッシュバルブは使い捨てであり、また高価なものであった。今のお金にすると300~600円程度ではないだろうか。

当時はカメラを持つ家庭は少なく、フィルムもプリント代もソコソコ高価で銀塩に記録された写真は大切な記念となった。

このフラッシュバルブも1970年になってキセノンストロボ技術が進み安価で安定供給が望めるようになり、また、オートフォーカス、自動露出などとともにカメラの中に組み込まれるようになってその役割が薄れていった。

フラッシュバルブの形状はタングステンランプを小型にしたような形であるが、短時間発光でありその発光時間は数十ミリ~数秒で、発光と同時に内部の発光剤が酸化剤によって燃え尽きてしまうので二度と発光はしない。

内光電球(フラッシュバルブ)

内光電球(フラッシュバルブ)

タングステンランプは、フィラメントが燃え尽きないように不活性ガスを入れたり高温に耐えるフィラメントを使っているが、フラッシュバルブは全く逆で、素早く発光しそして強く燃え尽きることを前提に作られている。

発光剤はアルミ箔やマグネシウム、ジルコニウムで、これに酸化剤(過塩素酸カリ、酸化鉛)が一緒になってバルブに封入されている。

バルブの中には点火用のフィラメントが入っていて3~6V程度の電圧でフィラメントを加熱させて、発光剤に着火させる。

フラッシュバルブはこれまでいろいろなタイプが製作された。

フラッシュバルブ開発の試みは1880年からあったといわれる。

エジソンが炭素繊維ランプを発明するのと同時期である。

電気も十分に整備されていない時代にフラッシュバルブが開発された動機は鉱山の照明用であったといわれている。

閉塞された空間で使うライムライトやマグネシウムパウダは危険であった。

酸素を封入しガラスで覆われたフラッシュバルブは携行に便利で取扱が楽であった。

フラッシュバルブを現在の形に仕上げたのはオーストリア人のPaul Vierkotter(ポール・フィールコッタ)といわれ、1925年のことである。

彼は、マグネシウムをワイアにコーティングしてガラスバルブの中に入れた。

これは後に改良されアルミフォイルに置き換えられ、これを低圧の酸素ガスを封入したガラスバルブに入れた。

マグネシウムをアルミに替えたのは安価だったからである。

1930年、ドイツのヨハン・オスターマイヤー(Johannes Ostermeier)が特許を取得し市販化に踏み切り、1932年、英国のGECが、「Sashalite」という商品名で大々的に売り出した。

Sashaliteは、これを発明したSasha氏にちなんでつけられた。

このランプは、封入ガスを100%酸素ガスにしアルミフォイルを発火させるものであった。

フラッシュバルブはクセノンフラッシュが安価に出回るまでの1970年代までの40年間、カメラ用閃光光源として重大な役割を担った。

フラッシュバルブはキセノンストロボと違い点火から発光輝度が最大になるまでに10ms以上の遅れを持つ(キセノンストロボは80μs程度)。

コマーシャル・アマチュアフォト用のカメラ(35ミリフィルムライカサイズカメラ)に使われているフォーカルプレーンシャッタは、シャッタが全開するまでに15ms程度の遅れを生じるため、シャッタと連動してフラッシュバルブを同一タイミングで発光させ撮影をする必要があり、発光の遅れと発光時間に応じて、Fクラス(発火のタイムラグ5~10ms)、Mクラス(発火のタイムラグ20ms)、Sクラス(発火のタイムラグ30ms、発光時間20ms)、FPクラス(発火のタイムラグ10ms、発光時間30ms)などが規格化された。

フラッシュバルブの種類と発光時間、遅延時間、発光量

フラッシュバルブの種類と発光時間、遅延時間、発光量

これらのフラッシュバルブを使うときはクラスに応じた接点(M接点、FP接点)を用いて同期発光させなければならなかった。

カメラ用のフラッシュバルブは以下のものが市販されていた。

【FP級】フォーカルプレーンシャッタ用
発光持続時間30ms

【MF級】レンズシャッタ機用
小型フラッシュバルブで、スイッチインしてから最大光量に達するまでに約15msかかる。発光持続時間約15ms。

【M級】レンズシャッタ機用
スイッチインしてから最大光量に達するまでに約20msかかる。発光持続時間約15ms
フラッシュバルブは、キセノンストロボに比べると発光遅れが大きく発光時間も長いため、キセノンストロボが安価になるにつれその役割をキセノンストロボに譲っていった。