色温度
本記事では光の色(波長)について述べてみたい。
ただ、この項でも波長ごとに述べるのではなく、光を色としてとらえるマクロ的な見方について触れてみたい。
光の性質を表す値に色温度がある。
白色光源はすべて同じ色合いではない。
太陽光にしても朝日と夕日では光の色が違うし、曇空の色合いも晴天の昼間とでは違ったものとなる。
こうした白色光源の光の色合いを数値で表すために「色温度」という考えが導入された。
K(ケルビン)
色温度の値は、K(ケルビン)という数値単位で表わされる。
ケルビンは温度表示の一種で、「絶対温度」とも呼ばれているものである。
一般的な温度表示は日本やフランスなどで日常使われている摂氏(℃)、それに米国で使われている華氏(oF)表示がある。
絶対温度は、物質がこれ以上に下がることのできない絶対0度(-273℃)を決めて、これをある単位の刻み(このきざみは摂氏と同じで水の融点と沸点を100等分したひとつを1度とする)で温度表示したものである。
論文などの学術的な場ではこのケルビン単位が使われている。
色温度もこのケルビンを利用している。
固体を熱していくと、物体は暗赤色から光を出し始め温度の上昇とともに輝きを増し赤から青に熱放射が起きる。
この現象に注目したドイツ人のプランク(Max Karl Ernst Planck : 1858~1947)が熱放射則を導き出した。
この放射則は放射率が1(外部からの熱エネルギを完全に吸収し、自ら発する熱エネルギも完全に放射する物体)の性質をもつ完全黒体について当てはまる熱放射と吸収に関する法則で、カーボンブラック(黒鉛)がこの法則に近似する物体であるといわれて
いる。
プランクの熱放射則によると完全黒体の熱放射は波長に関してある波長をピークとした山なりの熱放射となり、温度とそのピーク波長は極めて関係が親密である。
ウィーン(Wien)は、「黒体は、絶対温度Tで放射する波長の中の一番多い波長λと絶対温度Tに逆比例する」ということを発見した。
つまり温度が高くなるとピーク波長は短くなり赤から青に変わってくるというものであり、これをウィーンの変位則と呼んでいる。
プランクはこのウィーンが導いた法則をさらに推し進め、任意の波長について放射エネルギを求める方程式を導き出した。
この絶対温度Tのときに一番多く放射している波長の色、言い換えるならば、黒体が発している色と同じ発光の温度を色温度というようになった。
現実の物体には完全黒体など存在しないが、便宜的に白色光源の色合いを示す数値として色温度を使っている。
たとえば、1,800Kの温度を示すタングステンの色温度は1,825Kとなり完全には一致しない。
また、色温度はこうした学術的なものから端を発して、単なる色の付きぐあいを表す色感の数値手段として用いられるようになった。
したがって蛍光灯などのように輝線スペクトルが多い緑の色が強い発光も、色温度に当てて表現されるようになった。
蛍光灯や放電灯の灯りの質を表す数値表現として「演色性 」という表現があるが、これは別のページを参照していただきたい。
人間の目はある意味順応性が良いので、普段みなれた光も白い光としてとらえているが(反面、比較能力は驚くほど発達していてふたつの光源の色の違いは微妙な所まで見分けることができる)、フィルムのような感光剤ではそうした光源の色合いを忠実に再現してしまう。
つまりタングステン電球は赤色が強い色合いになったり曇り空では青色が強く出たりする。